事故車 査定で減額にされる場合はどんな時?
事故車買取のための査定、あるいは中古車の売りに出される段階での査定に関するトラブルが結構多発していることをよく耳にする。どういうことなのかを調査したところ、「一旦査定金額に合意したにも拘らず、後になって不具合が見つかったために、決まった査定金額が減じられる。」というトラブルらしい。これらの声は国民生活センターに多く寄せられているとのこと。
結論からいうと、上述のような、一旦合意の上で契約した後で、不具合が発見された場合に、業者の方から「査定額を減らします。」、あるいは契約を解除します。」という連絡があった場合、受諾する必要がないということである。よく吟味をしてみよう。契約書には契約を締結した後も修復歴車であることがわかった場合には査定額に対して減額が可能である条項を明記していることが一般的である。
ところがこのようなケースにおいて、注意しないといけないのは売買が成立後に「隠れていた瑕疵」が発見された場合には民法570条に明記されている「瑕疵担保責任により、損害賠償、又は契約解除を相手に求めることが可能である。」という条文を準用していることにありそう。
ここで、よく吟味しないといけないことは、事故車買取業者、あるいは中古車販売業者は査定に関するプロフェッショナルであるという点である。このような査定業者においては、普通に注意をすれば、修復歴車の有無等に関しては容易に見破ることができる筈である。つまり、裏を返せば、瑕疵を発見できなかったという過失を業者側に科せられることになり、消費者側に瑕疵担保責任を追求することは不可能である。但し、プロフェッショナルであっても発見が非常に難解な瑕疵である場合には、そうはならずに、逆に業者側の言い分が認められることが起こりうるのである。
合意に達した査定額を実売買における売却価格が販売する側にとって契約の最も重要なファクターとなっていることにも拘らず、後々で業者側の方で一方的に契約変更可としている消費者契約法第10条に問題を残す結果となっていることに原因があると考えられる。また、第10条には消費者利益が一方的に害するものは無効であるとも明記されている。そのため、消費者側の方で、契約後に査定額の減額に出くわした場合、毅然とした態度で拒否することで対応することに徹する。そのためにも、ある程度の理論武装が必要となろう。
査定額の減額を言われた後、どう考えても納得出来かねる事態が発生した時点で、キャンセルしたい旨の伝達を行なった場合に、先方から解約料の請求がされるケースがある事態に遭遇したことがあるのではないかと思う。でも、慌てることはない。解約料の支払に応じることはない。その理由として、あくまでも業者に対して損害を与えた場合に支払うことになるのであって、損害を与えていなければ支払に応じる必要はない。いくら契約書に明記されていても、要は損害を先方に与えたか否かによる訳であることを認識して欲しい。先方から何か言われた場合には、「解約料に関して、詳細にわたっての項目とその根拠を確認する。」ことがポイントとなることに留意する。中には解約料を見込んで、査定額を故意に減額して、キャンセルを誘導させる業者が見かけることがあるため、要注意である。
もし、トラブルになりそうであれば、速やかに消費生活センターに相談するようにしましょう。
事故車の査定については、通常、査定士技能試験に合格した人が査定士として査定を行うようになっている。彼らには事故歴を偽ることは先ずもって出来ないのが現状である。しかもきちんと事故歴か修復歴かを判別することができる。ということは青いプレートを掲げている査定業務実施業者であれば問題はないといえる。
その他に、査定後の減額を余儀なくされる場合が3つのケースがある。
ケース1)自動車税の支払がなされていないことが発覚した場合。
ケース2)書類に不備があって場合。たとえば、車検証の住所と現住所が異なる場合である。住民票の取得に関する実費の請求が減額対象となる。
ケース3)名義変更が出来ない場合。このケースは稀有ではあるが、車検証の再交付を行った上で、他の人の名義を変更する。変更後に古い車検証を買取業者に渡した上で、買い取ってもらうケースである。これは詐欺であり、名義変更は不可能である。
その他に、査定時に瑕疵を見つけることができなかった場合は、査定士の責任を問われるケースが多い。ということで、3つのケース以外には査定後に減額されることは皆無であるといえる。